巨大プラットフォーマーとの闘い – レコメンドエンジン開発にすべてを賭けるのか?


 

シルバーエッグ・テクノロジー株式会社

代表取締役社長 & CEO

トーマス・アクイナス・フォーリー

 

 

レコメンド技術を求める企業たち

私は毎年、レコメンデーション・システムの開発にかかわる国際カンファレンス、RecSysに参加しています。コンピューター科学の国際団体ACM(Association for Computing Machinery)が主催するこのイベントには、在野の研究者やエンジニアだけでなく、NetflixやAmazonといった国際的なビジネスを営む巨大プラットフォーマー、また世界各地でサービスプラットフォームを運営している企業が多数参加しています。バンクーバーで開催された2018年度のカンファレンスには、日本からも、リクルート、ヤフー・ジャパンや楽天などの大手企業が参加していました。

 

顧客一人ひとりを理解し、適切なターゲティングを行うことは、プラットフォーム型ビジネスにおいて最重要事項となっています。そのため、どのプラットフォーマー企業もレコメンデーション技術を扱う大勢のエンジニアやサイエンティストを抱え、ユニークで高い競争力を生み出すレコメンデーション・システムの開発に力を入れています。

 

一方、大手小売業者もこのカンファレンスに参加しています。イギリスのAsos (エイソス)や、ドイツのZalando(ザランド) のようなファッションEC企業は、かつてレコメンデーション技術を用いて出版業界を圧倒することとなったAmazonをモデルケースとし、それぞれのマーケットでそれを再現しようとしています。

 

こうした企業もまた、レコメンデーション技術に多額の投資を行っています。ただ、そこにはリスクもあります。すべての企業が投資に見合う成果を得ているかと言えば、そうではありません。レコメンデーション・システムはだれもが望むものですが、導入したからといって、簡単にうまくいくというものではないのです。

 

なぜうまくいかないのか?

問題なのは、十分な専門知識が行き渡っていないことです。この業界に長く身を置く人なら誰もが理解しているとおり、ビジネスモデルを成功へと導くには、目的に適った非常にシャープなレコメンデーション技術を採用しなければなりません。企業が大きな絵を描き、技術に熱意をもって取りくむ環境を用意できるのなら、優秀なチームを組織して独自のレコメンドエンジンを作り出すこともできるでしょう。しかし、実際はどうでしょうか?

 

レコメンデーション・システムを作ることは、一見簡単そうに見えます。シンプルなレコメンドエンジンの作り方を解説している書籍、論文、オンラインデモは、世にあふれています。確かに簡単なものなら、高校のサイエンス・プロジェクトのような感覚で作れてしまうかもしれません。

 

しかし、ビジネスレベルの信頼性とスケーラビリティを担保したレコメンデーション・システムとなると、話は別です。巨大なエンジニアリング・プロジェクトとならざるを得ず、それを遂行する能力が求められます。また、最新技術を駆使して競争力のあるシステムを構築するには、AIと機械学習における実践的な経験が必要です。さらに、顧客データを用いて成果を出すためには、ビジネスにも精通したデータ・サイエンティストの存在も不可欠です。

 

これら3つの別々のスキルをそなえた有能なスタッフを揃えることさえできれば、1年でまともなレコメンデーション・システムを構築できるチャンスはあります。もっとも、システムの構築に成功したとして、マーケットとテクノロジーの変化についていくためには上記のような投資を継続していく必要があるわけですが……。

 

実際のところ、誰がこのレベルの投資をすることができるのでしょうか? AIとエンジニアリングが企業のコア・コンピテンンシーであれば分かるのですが、そうではないのに、きわめて高度な技能を持つ専門家———往々にして、ユニークすぎて企業の従業員としては一筋縄ではいかない人材———からなる小さなチームに、オンラインビジネスの成否を賭けることができるでしょうか? そのチームが成功し、成果を出すまで、どれだけ待てるのでしょうか?

 

プラットフォーマーなら、こうした投資から良い結果を得ることもできるでしょう。しかし中小企業となると、そう簡単にはいきません。インターネット上で個々のブランドが、顧客を個別にターゲティングしサービスを提供することのできるプラットフォーマーと競争することは、ますます難しくなっていきます。巨大なプラットフォーマーの脅威とは、まさにそういうことです。

 

巨大プラットフォーマーに抗うために


 
この状況がどこへ向かうのかは、目に見えています。先端技術で武装した巨大なプラットフォーマーはますます膨れ上がり、莫大な数の顧客や機会を獲得していくでしょう。プラットフォーマーから自分たちのブランドの独自性を守るためには、最先端のレコメンドエンジンと、One to Oneのデジタルマーケティング技術がなければならないのです。それがなければ、個々のブランドは競争力を失ってゆくだけです。

 

では、プラットフォーマー以外の企業に残された選択肢は、「すべてを投げ打って、独自のレコメンドエンジン構築に賭ける」ことだけなのでしょうか?

 

シルバーエッグ・テクノロジーが存在する理由は、まさにここにあります。私たちのクラウドサービス型レコメンデーション・プラットフォームは、20年にわたり国内の多くの著名ブランド企業に利用され、常に進化しつづけてきました。信頼性とスケーラビリティ、そして汎用性の証明された国内トップクラスのサービスを、コンサルタントがクライアントにビジネススタイルにあったチューニングを施し提供することで、多種多様な企業にユニークな競争力をもたらしています。

 

レコメンデーションという誰もが必要としているツールを、誰もが使えるようにする。それが、我々の価値です。変化し続けるビジネス環境の中、消費者と向き合ってビジネスを続ける企業のパートナーとして、我々はこれからもサービスを提供していきます。

 

 

(訳・編:シルバーエッグ・テクノロジー株式会社 梅村翔子・園田真悟)

 

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