EC売上アップの分岐点はここに!プロが教えるページ別レコメンド設定講座 Part 2. カテゴリーページ編
レコメンドエンジンを使い倒して、ECサイトのコンバージョン率アップ・売上アップを実現するためには、トップページ、カテゴリーページ、商品詳細ページなど、ユーザーの行動フェーズに応じて“最適なレコメンドを設計すること”が欠かせません。
そのための実践的な設定方法を、ユーザーの「買い物体験」における心理状態を鍵に3回シリーズで解説します。
第2回となる今回は、前回のトップページでのレコメンド設定に続き、カテゴリーページでのノウハウについて、AI搭載レコメンドサービス「アイジェント・レコメンダー」でECサイトの売上UPを支援するシルバーエッグ・テクノロジーの専門家が、具体的な施策とチューニングのコツを紹介していきます。
解説:シルバーエッグ・テクノロジー株式会社 アカウントコンサルチーム マネージャー 明石 清胤
【INDEX】
・ユーザーの“欲しい”を確信に変える「カテゴリー内レコメンド」
・“隠れた逸品”との出会いを創出する「カテゴリー閲覧相関」
・検索キーワードもヒントに。離脱させない“合わせ技”
・迷ったときの道しるべ。「リアルタイムランキング」の威力
・まとめ:「比較検討」を助け、スマートな顧客体験を
ユーザーの“欲しい”を確信に変える「カテゴリー内レコメンド」
── カテゴリーページを訪れるユーザーは、どんな心理状態にあるのでしょうか?
明石: この段階のユーザーは、「このカテゴリーの中から良いものを見つけたい」という強い目的意識を持っています。そのため、カテゴリーと全く関係のない商品が出てくると、ノイズに感じて離脱する原因になりかねません。まずは、選択したカテゴリー内で最適な商品を提案することが大前提となります。
── なるほど。その上で、どんなレコメンドが有効なのですか?
明石: まずは「閲覧-購買相関」を活用したレコメンドが鉄板です。これは、「このカテゴリー内で、この商品を見た人は、こんな商品も一緒に買っています」というデータを基にした提案です。
── 他の人の購買行動が、自分の選択の後押しになるわけですね。
明石: その通りです。「他の人も買っているなら、自分にとっても良い商品かもしれない」という安心感が生まれ、購入への確信度を高めることができます 。比較検討の段階に入っているユーザーの背中を押す、非常に強力な一手です 。
“隠れた逸品”との出会いを創出する「カテゴリー閲覧相関」
── カテゴリーを絞っているとはいえ、ユーザーが本当に欲しいものがその中にあるとは限りませんよね。
明石: まさにその通りで、面白い施策が「カテゴリー閲覧相関」です。これは、「このカテゴリーを見ている人は、実は“別のこんなカテゴリー”の商品も見ています」というデータを基にしたレコメンドです。
── カテゴリーの壁を越えた提案、ということですか?
明石: はい。例えば、あるブランドの「Aラインのワンピース」を探しているユーザーがいたとします。そのユーザーの行動パターンをAIが分析し、別のブランドの「フレアスカート」を提案するといったことが可能です。ユーザー自身も気づいていなかった潜在的なニーズを掘り起こし、「こんな商品もあったのか!」という発見体験を提供できます。これは顧客満足度の向上にも直結しますね。
検索キーワードもヒントに。離脱させない“合わせ技”
── カテゴリー内でのレコメンド以外に、ユーザーの行動を先読みするようなテクニックはありますか?
明石: もう一歩進んだ施策として、「検索機能との連携」があります。当社のエンジンでは、サイト内検索で入力されたキーワードと、その後のユーザーの閲覧行動をAIが学習できます。
── 検索キーワードと閲覧行動を組み合わせるのですか?
明石: はい。「このキーワードで検索した人は、結果的にこういう商品を見ています」という相関関係を導き出し、検索結果ページやカテゴリーページでその商品をレコメンドするのです 。これにより、ユーザーはより早く自分の欲しい商品にたどり着けるようになります。
── それはなぜ重要なのでしょうか?
明石: ECサイトでは、ページの遷移が1回増えるごとに、一定数のお客様がサイトから離脱してしまいます 。つまり、いかに少ないクリック数で目的の商品に到達させてあげられるかが、購入率を左右する重要なポイントになるのです。検索行動の意図を汲み取ったレコメンドは、この離脱率を抑える上で非常に効果的です。
迷ったときの道しるべ。「リアルタイムランキング」の威力
── 商品点数が多いカテゴリーだと、どれを選べばいいか迷ってしまいそうです。
明石: そういった場合に有効なのが、パーソナライズを行わない「リアルタイムランキング」です 。これは、そのカテゴリー内で「いま」売れている商品を順番に表示するシンプルな機能です 。例えば、工芸などを扱う中川政七商店様の事例では、カテゴリーページの冒頭にランキングを掲載し、ユーザーが人気商品をすぐに見つけられるように工夫されています。
── なぜパーソナライズしない方がいい場合があるのですか?
明石: 自分の好みとは別に、「世の中で評価されているもの」「トレンドになっているもの」を知りたいというニーズは常に存在します。特に多くの選択肢を前にして決めかねているユーザーにとっては、「とりあえず人気なのはこれか」という分かりやすい道しるべになります。前回もお話ししましたが、このランキングは情報の「鮮度」が命。リアルタイムでデータを収集しているレコメンドエンジンの技術を応用し、“いま”の売れ筋商品を見せることが重要です。
まとめ:「比較検討」を助け、スマートな顧客体験を
── カテゴリーページのレコメンドで、最も重要な心構えは何でしょうか?
明石: カテゴリーページは、ユーザーの購買意欲が具体化する重要なフェーズです。ここでユーザーを“絞り込み疲れ”させてはいけません。
レコメンドの役割は、ユーザーの「比較検討」を楽しく、そしてスムーズに手助けすることです。カテゴリー内での確実な提案を軸にしつつ、検索意図も汲み取りながら、時にはカテゴリーの枠を越えた意外な出会いを演出する。このバランスが、ユーザーを自然に次のステップへと導きます。こうしたスマートな商品探しを体験してもらうことが、最終的にサイト全体の購入率向上に繋がっていくのです。
次回は、購入の最終関門である「商品詳細ページ」と「カートページ」のレコメンドについて解説します。
(取材・編集: 園田 真悟)
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