ウェビナーレポート:シルバーエッグ・テクノロジー×ニューロープ共催『データ分析で、アパレル業界の「MD」業務を変える! ~課題の理解とソリューション提案~』


シルバーエッグ・テクノロジーは2022年2月24日(木)、ファッション特化AIサービスを展開するニューロープ株式会社とともに、ウェビナー『データ分析で、アパレル業界の「MD」業務を変える! ~課題の理解とソリューション提案~』を開催しました。

 

シルバーエッグとニューロープは、どちらもAI技術を核としたマーケティング・テック企業ですが、シルバーエッグのAIが個人の嗜好やニーズを予測し、消費者の選択を助ける一方、ニューロープのAIは市場の大きなトレンドを予測し、マーケターの意志判断をサポートします。

 

今回は、ニューロープの提供するAIツール「#CBK forecast」にフォーカスし、ニューロープ代表取締役 酒井聡氏に、アパレル企業におけるマーケティング・商品企画の最重要ポジションであるMD(マーチャンダイザー)の業務について、課題とDXによる改善策を語っていただきました。

 

【INDEX】

「#CBK forecast」とは?AI技術でファッショントレンドを分析する

MD業務の課題の理解と、ソリューション提案

MD担当者の業務フロー

MD業務の課題と解決策

>ポイント1:商品コンセプトの策定

>ポイント2:発注量の選定

>ポイント3:販売シーズン中の売り切り施策

まとめ


「#CBK forecast」とは?AI技術でファッショントレンドを分析する

トレンドに左右されやすいアパレル業界では、市場の最新の流行をいち早く把握・分析し、データに基づいて、今後のニーズの変化を予測するスキルが求められます。それらを補完できるのが、ニューロープが提供するAI搭載のトレンド分析ツール「#CBK forecast」です。

 

*「#CBK forecast」システムの流れ

 

「#CBK forecast」は、InstagramやTwitterなどの各種SNSやファッションECサイトなど、オンライン上に存在する多くのファッション関連の画像を収集し、AIによる画像認識技術で解析することで、画像に含まれる人物の性別や年齢層、衣類の種類や色など細かな情報を分類し「タグ(キーワード)」としてデータベースに記録しています。

 

収集した画像データと付随するタグ情報は全て蓄積され、専用ダッシュボードから時系列に表示されたグラフや、レポートを確認できます。また、気になるカテゴリーや特定のタグキーワードで絞って検索することも可能です。

 

これにより、細かな分析レポートを一から作成しなくても、いつ・どこで・何がトレンドになっているかがすぐに視認することができます。さらに、今後のファッショントレンドの傾向を推測するための判断材料にすることもできます。

 

MD業務の課題の理解と、ソリューション提案

まず「アパレルブランドの核」とも言えるMD担当者には、シーズンごとの独自の業務フローと、それぞれのフェーズにおける特有の課題があります。データ分析ツールである「#CBK forecast」をどのように活用して、MD業務の課題が解決されるか、酒井氏に伺いました。

 

MD担当者の業務フロー

酒井氏は、MD担当者の業務フローを次のように解説しました。

 

 

MD担当者はまず、商品企画の材料を集めるために情報を収集し、トレンドとニーズの分析を行います。分析したデータを基に商品コンセプトを策定し、そのコンセプトに合った商品の仕様やデザインを企画します。この際、パンツ・スカート・カットソー・ニットなどカテゴリーごとの予算も立てます。

 

企画が定まったら、デザイナーや工場へ発注依頼し、納品後の最後のステップとして、どのように売れるのか・売り切るのかの販売促進と在庫管理をあらかじめ作成してある計画表と予実を付け合わせながらシーズンの終わりまで担当します。

一連の業務をシーズンごとに行うため、業務範囲の広さもさることながら、毎シーズンのトレンドの変化を捉える負担は相当の物です。

 

MD業務の課題と解決策

では、それぞれの業務ステップを遂行するうえで、MD担当者が抱える課題にはどのようなものがあるのでしょうか。酒井氏はこれを3つのポイントとして次のように説明しました。

1. 商品コンセプトの策定
2. 発注量の選定
3. 販売シーズン中の売り切り施策

それぞれの課題をポイントごとに解説いただき、解決策を伺いました。

 

 

ポイント1:商品コンセプトの策定

MD担当者が商品コンセプトを企画する際に、下記課題が挙げられます。

 

・企画材料となる確実なデータをうまく入手できない

・データを入手したとしても、効率よく活用できない

・利用しているツールが未だアナログで、業務負担が多い

・調べられるSNSやECサイトに限界があり、MDやディレクターの属人的な分析になってしまう

 

本来であれば、ソーシャルメディアを介して消費者の好みや温度感を見極めるには、偏りのない広範なデータの収集が必要です。また、自社が保有する過去の販売データだけでなく、市場全体の販売トレンド情報を収集できれば、より精緻な予測を建てることができるはずです。

 

酒井氏は、「#CBK forecast」が蓄積しているトレンドデータを活用し、根拠に基づいたトレンド分析を行うことで、商品コンセプトの策定の課題は大きく軽減できると語りました。

 

「#CBK forecast」は、SNSや多数のファッションECサイトから画像解析してきたトレンド情報をデータベースとして保管するため、気になるカテゴリー内でのトレンド上位と下位、出現比率などを簡単かつタイムリーに確認できます。また、特定のファッションやカテゴリーの推移を時系列で確認することもできます。こうした分析は、自社の過去実績だけでなく、市場全体のトレンドを参考に予測を立てることもできます。

 

 

ポイント2:発注量の選定

続いて、MD担当者が商品構成を策定する際や、企画した商品を工場へ発注する際に感じる課題を、酒井氏は下記のように整理しました。

 

・商品を細かな仕様のバリエーション(サイズやカラー)で販売するため、どのアイテム仕様を、どれくらい発注すれば良いか見極めるのが難しい

・前年の実績データで発注数を決めることもあるが、必ずしも今後同じように売れるとは限らない。そのため、発注数の判断材料としては不十分

・最新トレンドを把握しきれていないため、「売り逃し」が起こる

 

この課題を解決するのが、「#CBK forecast」の持つ細やかなタグデータに基づく、アップトレンド・ダウントレンドの予測分析です。

 

SNSやファッションECサイト、ファッションコレクションから集められたトレンド分析データを基に、細かなデザイン仕様の市場受容度や、その時の売れ筋仕様(衣類のカラーや素材)をAIによって予測し、自系列でグラフで表示することができるので、その伸び率を基にして発注数を決めることができます。

 

なお、サイズごとの発注量といった、デモグラフィック情報に基づく判断をサポートするには、トレンド分析のみでは不十分です。しかし、ECサイトの会員ユーザーのデモグラフィック情報や、彼ら・彼女らのサイト内行動をトラッキングしたAI分析データを組み合わせることで、どのサイズがよく売れているかなどの傾向を見ることも可能かもしれません。今後の更なるデータ収集・活用の開発が期待されます。

 

 

ポイント3:販売シーズン中の売り切り施策

最後は、販売シーズン中の課題です。MD担当者が商品を発注して、店頭またはECサイト上で販売し始めた後に課題として感じるポイントとして、酒井氏は下記を挙げました。

 

・万が一ダウントレンドが起こったり、分析からのトレンド予測を読み間違えたりした時に、具体的にどのような対策を取れば良いか分からない

・売れ残り対策として商品の値を下げるが、どの商品をどの程度値下げをすれば良いか、判断するのが難しい。もしくは値下げ具合がその時に適しているかが心配

・売れにくい商品でも「魅力ある商品」だと見せたいが、うまく見せることができない

・実は売れ筋商品なのに、追加で商品が投入される中で店舗の奥まったところに埋もれてしまっているケースがある

 

これらの改善策として、まずは何がダウントレンドになっているかをいち早く認知することが重要となります。

 

早めにダウントレンドを見極めることで、売れていないアイテムを早い段階で特定でき、そのアイテムのみ値下げをすることを判断できます。また、そのダウントレンドの分析によって、最初は10%オフ、その次に20%オフなどと徐々に値下げをすることができて、その時々に必要以上に値下げをしないように販売し続けることができます。

 

また、売れていない商品をユーザーにより良く見せるために、プロモーションコンテンツの改善策としても「#CBK forecast」が活用されます。

 

InstagramやTwitterなどで用いられる「ハッシュタグ」の分析をすることで、ユーザーがどういったコンテンツやファッショントレンドに関心を持っているのかを確認することができます。これらのデータを反映し、各種SNSやファッションECサイト、店舗でのディスプレイで、ターゲットとなるユーザー層に合わせてコンテンツを調整していくことができれば、販売促進の効果は向上していきます。また同様のデータから、在庫のあるアイテムの中から隠れた売れ筋を発見することもできます。

 

まとめ

分析や管理を属人的なアナログ作業で行ってきたMD業務を、デジタルツールを駆使したものに変えることで、データという確かな根拠に基づく意志判断ができ、MD業務の効率はもちろん、精度そのものを上げていくことができます。

 

業務量の負担が解消されることで、今まで着手することが難しかったEC担当者や店舗スタッフとのクリエイティブな連携ができるようになり、販売企画を一緒になって進めてECサイトの改善にも繋がると考えられます。

 

また、精緻なデータ分析に基づくマーチャンダイジングは、「売り逃し」や「売り残し」のリスクを減らし、その時々のトレンドに適した商品を持続的に販売できます。消費者にとっても、欲しいと思える流行のアイテムを確実に手に入れられるようになり、快適な買い物体験の実現に繋がります。

 

このような効果を持つ「#CBK forecast」で、ぜひ、MD担当者の業務のデジタル化を検討してみてください。

 

シルバーエッグは、今後もさまざまなパートナー企業の皆様、ユーザー企業様と共にセミナーを行っていきます。ぜひ今後ともご参加ください!

 

 

(文:矢野 アマンダ有梨)



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