レコメンドエンジンが役に立っていない? 見直したい3つの課題


ほとんどのネットショップや情報サイトで見られる、「あなたへのおすすめ」表示。サイトの裏側で何をおすすめするかを決めているのが、「レコメンドエンジン」と呼ばれるデジタルマーケティングツールです。

 

多くの企業のEC担当者が、ECプラットフォーマーや専門業者の提供するレコメンドエンジンを自社ECサイトに導入しています(なかには自社開発する企業もあります)。しかし、その効果はきちんとユーザーに届いているのでしょうか?

 

この記事では、安易なレコメンドエンジンの設置が、サイトにとって役に立っていないケースについて考え、その改善策をご紹介します。

 

 

INDEX
・レコメンドエンジンの存在意義
・レコメンドが効果を発揮しない理由
 1. 最新の商品情報と同期されていない
 2. レコメンドの表示ルールが不十分で、運用に依存している
 3. 事業者が「レコメンド」と「広告」を混同している


 

レコメンドエンジンの存在意義

そもそもレコメンドエンジンは、ユーザーのニーズに即した商品やコンテンツをサイト内に表示し、ユーザーに選んでもらいやすくするための仕組みです。

 

典型的なECサイトでは、提供する商品やコンテンツがおおむね100種を超えてくると、レコメンドエンジンが必要になってくると言われています。ユーザーが自分でサイト内の商品を探し、見つける手間が増えてくるためです。商品数が100点以下のサイトでも、入れ替わりが激しかったりすると、ユーザーに商品の発見を促すためにレコメンドエンジンが導入されます。

 

レコメンドエンジンの導入によってで得られる企業側の効果には、次の3点があります。

 

1. コンバージョン率の向上

ユーザーにとって興味のある商品を表示して、購入を促す

 

2. 購入単価/併売率の向上

ユーザーが購入しようとしている商品と併せ買いのしやすい商品を提示し、セッションあたりの購入点数を向上させる

 

3. エンゲージメント/LTVの向上

ユーザーに「良いものが見つかるサイトだ」という体験をもたらし、サイトの訪問頻度、閲覧ページ数(回遊率)、商品の購入頻度を向上させる

 

これらの効果指標が良ければ「レコメンドエンジンが役に立っている」状態です。

 

しかし、レコメンドエンジンの特性がサイトとマッチしていなかったり、運用方法を誤っていたりすると、レコメンドエンジンはユーザーに良い商品を推薦できません。ユーザーにとっては、レコメンド表示を通じて欲しい商品が見つかるどころか、ノイズとなる情報を押し付けられることになり、ユーザーのサイトに対する信頼感は下がります。

 

 

レコメンドが効果を発揮しない理由

レコメンドエンジンがユーザー体験を下げてしまう具体的な原因について、3つご紹介します。

 

1. 最新の商品情報と同期されていない

 

品切れ商品がレコメンドされる?

レコメンドエンジンと、企業側の商品/コンテンツデータとの同期設定の問題です。

 

レコメンドエンジンはサイトの商品DB(コンテンツ配信サイトの場合はコンテンツDB)と連携し、最新の在庫データを取得(同期)することで、いまECサイトで販売可能な商品をお勧めできます。とても初歩的な問題ですが、この同期のタイミングが遅かったり、回数が少なかったりすると、品切れになった商品が長期間おすすめされ続けてしまいます。

 

ひどいケースでは、商品自体が終売となり、商品詳細ページも削除されているのに、同期ミスによってレコメンドが維持され続け、クリックすると404エラーページが表示されるといった現象が起こる場合もあります。

 

ユーザーがせっかく「買いたい!」と思える商品を見つけても、これでは逆効果です。

 

レコメンドエンジンと商品/コンテンツDBの同期は、最低1日1回行う設定にすべきです。商品の動きの多いサービスや、1点もの(売れれば即品切れ)の商品を抱えるサービスの場合、1日に3回以上のデータ取得を行っているサイトもあります。

 

導入前に同期設定の確認を

レコメンドエンジンは様々な企業から提供されており、統合マーケティングツールやECプラットフォーム(カートツール)のオプションとして一括提供されるケースも多いかと思います。こういったツールでは、レコメンドエンジン固有の設定をする必要がなく、簡単に使いはじめることができると思われがちです。しかし、手軽さを売りにしているツールでは、デフォルト設定で商品/コンテンツDBとの同期のサイクルが長めに取られていたり、そもそも自由に設定できなかったりする場合があるので、注意が必要です。

 

多少手間がかかっても、導入初期設定のフェーズで商品マスターDBとの同期設定をしっかりと行いましょう。その後数年に渡る顧客体験の評価や、レコメンド経由での売上高に、大きくかかわってきます。

 

 

2. レコメンドの表示ルールが不十分で、運用に依存している

 

レコメンドルール/シナリオをどこまで決め、どう運用するのか

精度の低いレコメンドエンジンのおおざっぱなレコメンドルールだけでは、的外れな商品や、訴求力の低い商品が表示されることが多くなります。たとえば、「シャツを見ている顧客には、同カテゴリーのシャツを自動的に表示する」といった設定だけでは、顧客の商品発見は限定的で、購買意欲を十分上げられません。

 

これを解決するには、ある程度細かな表示ルールやシナリオを決める必要があります。もっとも、導入時点では完璧に設定したつもりのレコメンドのルールやシナリオも、時が経つにつれ次第にユーザーのニーズや市場トレンドに合わなくなり、コンバージョンが得られなくなってきます。

 

これを防ぐためには、人の手による定期的なレコメンドのチューニングが必要です。定期的にレコメンド経由でのコンバージョンが下がったものを割り出し、顧客データや市場のトレンドに合わせてシナリオをチューニングし続けるべきです。

 

人手がかけられないのなら、AIの活用を

上記のように、ルールベースのレコメンドでは運用設計が必須ですが、多くの企業では、レコメンドエンジンのチューニングにまでに人手を割くことはできません。

 

人手をかけずに、レコメンドから十分な売上を得たいのであれば、AIを搭載したレコメンドエンジンの導入を検討してください。

 

AIの長所は、人間の代わりにユーザーを観察し、その時々のトレンドに合わせてレコメンドアイテムを自動的に変化させる点にあります。また、商品やユーザーの属性情報(商品カテゴリーやユーザーの年齢・性別)のような単純な情報に依存することなく、ユーザーの行動から「こんなものを見ている人は、こんな商品も欲しがるはず」といった予測を行い、ユーザー一人ひとりに対して異なるアイテムをレコメンドすることができます。

 

 

3. 事業者が「レコメンド」と「広告」を混同している

 

レコメンドは「売りたいものを売る」ツールではない

最後の問題は、レコメンド導入時にEC事業者が抱きがちな考え方の問題です。ECサイトの運用に携わるマーケターやセールス担当者は、当たり前のことですが「いま、会社として売りたい商品やコンテンツ」をプッシュしようとします。

 

レコメンドエンジンも、この方針に基づいて、極力「売りたいアイテム」を表示するような設定が取られる場合が見受けられます。特に、ECの担当者がプロダクトマーケティング部門やセールス部門からの要請を受け、本来のレコメンド設定を変更し、特定の商品を多く出すようにする、といったことが起こりがちです。これは顧客にとって逆効果になる場合があります。

 

レコメンドエンジンは、「あなたへのおすすめ」という表現が示す通り、本来顧客のニーズに寄り添った商品をパーソナライズして提示するものです。レコメンドの表示ルールやシナリオを恣意的に特定の商品に絞ってしまうと、閲覧するユーザーのニーズとのアンマッチが多くなり、結果的にクリック率もコンバージョン率も下がります。

 

 

ユーザーのニーズを第一にすることで、売上を支えるツール

 レコメンドするアイテムのルール・シナリオ設定に、事業者の「コレを売りたい」という意思を入れ込むべきではありません。サイト内のプロモーション枠とは切り離して考え、常にデータに基づき、ユーザーのニーズ第一でレコメンドアイテムを選定すべきです。

 

ここでも、AIをつかったレコメンドは役に立ちます。特に、ユーザー行動情報をベースとしたAIエンジンは、サイト内の売上や閲覧履歴といったデータだけを信頼し、機械学習アルゴリズムでユーザー一人ひとりのニーズを予測します。シルバーエッグ社の事例では、このアルゴリズムによるレコメンドと専門の接客スタッフのノウハウに基づいて作成したレコメンドとABテストを行ったところ、アルゴリズムが勝るという結果を得ています。

 

レコメンドエンジンは、ユーザー一人ひとりにとって「良いもの」が見つかったという体験を提供することで、ユーザーの購買意欲を高めるツールです。また、この体験はブランドへの信頼感醸成にもつながります。良質なユーザー体験の提供こそ、売上への近道と考え、レコメンドエンジンの設定を行ってください。

 

 

 

今回ご紹介した「レコメンドエンジンが役に立っていない」状態とその原因は、いずれも非常に基礎的なものです。レコメンドエンジンの導入やアップグレードを考えていらっしゃる皆様は、ぜひご参考にしてみてください。

 

(文:園田 真悟)



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