レコメンド結果をフィルタリングし、より使いやすいサイトに! レコメンドエンジンの付加価値向上テクニック


AIベースのレコメンドエンジンの特徴は、AIが自動的にユーザー(消費者)の行動を学習し、商品やコンテンツをパーソナライズして提示するところにあります。しかし実際のビジネスの場では、AIが選び出したアイテムをフィルタリングし、制御することで、サイトの設計意図に沿ったユーザー体験を作りだすことができます。

今回、このフィルタリング機能の使いどころについて、アパレル企業やメディア企業向けのレコメンドで経験の深いシルバーエッグ・テクノロジーのコンサルタント、石本 万里子と池谷 麻子に説明してもらいました。

 

 

フィルタリングのコツは、「出す」+「出さない」

▼まず、レコメンドエンジンでフィルタリング機能を使う意味を教えてください

池谷:レコメンドするアイテム(商品やコンテンツ)は、ユーザーの行動(どんなものが見られ、買われているか)をもとにAIが自動的に選び出すものですが、サイトのユーザビリティの観点から、状況に応じてアイテムをある程度絞ったほうが、ユーザーにとって違和感のない商品が並ぶことになり、より高い成果が得られるようになります。

たとえば、アパレルサイトのメンズセクションではメンズだけをフィルタリングして出す、レディスならその逆、というように、カテゴリー単位で出すアイテムを制御するのが一般的です。

 

石本:クライアント企業様からは「このページにはこのカテゴリーだけ出したい」という依頼を受けることが多いですが、逆に「このカテゴリーは出さない」という設定が効果を生むことも多いです。

アパレルの例で言うと、ジャケットの詳細説明ページのレコメンドを「同じ商品カテゴリー(ジャンル)から出す」と設定すれば、好みに合うジャケットが画面に並び、より良いものを選ぶことができるようになります。

一方で、「この商品カテゴリー以外のものを出す」という設定をすれば、いま見ているジャケットと組み合わせて着たくなるようなシャツやパンツ、小物がレコメンドされ、併せ買いの確率が上がります。

有効な活用方法としては、レコメンドの表示枠を2段にして、上段に「同じカテゴリー」下段に「異なるカテゴリー」を出す方法です。選択の自由度が増え、ユーザーさんのその時の気分にあった選択がしやすくなります。

 

 

効果が出るかどうかは、ABテストで検証

▼フィルターを設定するには、具体的にどのような作業が必要ですか?

石本:アイジェント・レコメンダーでは、クライアント様の持つカテゴリーのマスターデータを参照して、各ページに埋め込まれた当社のレコメンドタグのカテゴリー指定に関するフィールドを書き換えることで、簡単に制御ができます。シーズンの変化やセール対応など、クライアント様側でサイト更新の一部として機動的に使っていただくことができます。

 

池谷:フィルタリング対象のカテゴリーの指定は、当社のサポートで対応することも可能です。また、アイテムのマスターに加え、カテゴリーのマスターデータが存在することが前提となります。ただ、クライアント様によってマスターデータの持ち方は様々ですし、こちらにも状況に応じていくつかテクニックがあるので、そこはご相談いただければと思います。

 

▼コンバージョンを伸ばすフィルタリング設定のコツは、何でしょう?

石本:そもそも、アイジェント・レコメンダーをご利用中のほぼすべてのクライアント企業様が、レコメンド導入時にフィルターを指定されています。サイトのページごとに、ユーザーさんに何を見てもらい、どんな行動を取ってほしいのか、顧客導線の設計がされています。それに応じて、私たちでも適切なフィルタリング方法を検討させていただきます。

 

池谷:そうやって導入された初期のフィルター設定は、たいていの場合有効に働きます。ただ、サイト立ち上げから時間が経って来ると、サイトの構成が変わったり取り扱う商品カテゴリーが増えたりして、フィルターも変更したほうがいい場合がでてきます。その際は、まずABテストで検証することをお勧めします

たとえば、先に説明した通り商品詳細ページで出すレコメンドを、いまユーザーさんが見ている商品カテゴリーに限定するか、しないか、というテストは、多くのクライアント様で行っています。また、モール型のサイトでは、出展した各ブランドの意向によって内容を絞りたい、と依頼されることもあります。そういったときも、ABテストで効果を比べ、本当に良い設定は何かを調べたりします。

 

石本:Topページでは、商品カテゴリーが横断的にみられるようになっているため、そのカテゴリーごとに絞り込んだりすることもあります。また、導線によっては新着商品だけをフィルターで出すのも有効です。新着カテゴリーの作り方・運用方法にはいくつかありますので、ご相談ください。

 

意外と難しい? 「価格によるフィルタリング」

▼プライス(価格)フィルタリングの使いどころも教えてください

石本:プライスフィルターは、カテゴリーフィルターとは別の設定で、価格のマスターデータを参照して「X円以上のものを出す」とか、「Y円以下のものを出す」といった設定ができる機能です。

たとえば、1万円の商品を買おうとしているユーザーさんに、2千円ぐらいの商品をお勧めして「ついで買い」を促すといったことができるのがこの機能ですが、すこし注意が必要です。

特にブランドショップさんにありがちですが、特定の価格以下の設定にすると、対象となる商品が非常に絞り込まれてしまって、そのうちどの商品がいま見られている商品とマッチするのか、AIがデータ不足で判断できないケースがあるのですこのような場合は、無理に価格で絞らず、カテゴリーで絞った方がよいかもしれません。

 

池谷:一方で、「ある価格以下の商品を出さない」という設定がうまく行く場合もあります。少額の小物商品、たとえば最近だと「マスク」を売っているECサイトは多いのですが、こういったものは本当にいろんな商品と一緒についで買いをされるので、AIもそれを読み取って、色んな場面で出しています。

でも、サイトのTopページで、いきなりおすすめにマスクだけが並んでいても、ユーザーさんはクリックしませんよね? そんなとき、低額な商品は出さない、と設定しておくことで、そのサイトのメイン商材が見えるようになり、CTR、CVRを上げることができます逆に決済ページなどでは価格での制御をせず、よく買われるマスクを出してついで買いを促すことができます。

 

ユーザーの感情を考えたフィルタリングで、AIを強化する

▼これまでのお話をまとめると、フィルタリングで「出す」より「出さない」が有効なケースが多いように思えます。

池谷:物を売る立場からすれば、「この商品をプッシュしたい」という感情で、特定のものを出そうとする意思が働きがちです。でも、ユーザーさんの立場で考えると、「欲しくないものは見たくない」という感情も強いのではないでしょうか? ユーザーに寄り添って、「敢えて出さない」という判断をしていくのは、UXの底上げのために必要かもしれません。

 

石本:例えば、漫画配信などのコンテンツ系サイトでは、ユーザーの趣味・嗜好が強く働きます。特定のカテゴリーの漫画は見るのも嫌、という人はいますよね? だからといって、一律で「このカテゴリーはレコメンドしない」としてしまっては、売上にはつながりません。こういったニーズに対しては、ユーザーの過去の閲覧履歴ベースでフィルターをダイナミックに入れ替えるなど、システムをカスタマイズして対応しています。

本来、レコメンド用のAIはフィルタリングを必要とせず、ユーザー全体の行動情報から「これとこれは一緒に買われやすい」といった相関関係を発見していくものです。でも現実として、非常に多くの商品のなかから相関関係を見つけ出すのには、時間がかかります。

そこで、フィルタリングをつかってレコメンドする商品を絞ることで、ユーザーの行動パターンが把握しやすくなり、AIがアイテムどうしの相関関係を学習していく速度もあがります。私たちコンサルタントと、クライアント企業のマーケターさんが協力し、フィルタリング機能でAIを導いてやることで、顧客ニーズに沿ったより適切なレコメンドが、素早くできるようになるんじゃないかと考えています。



シルバーエッグ・テクノロジーの最新のニュースや導入事例等は、メールマガジンでもご紹介しております。

メールマガジンの配信をご希望の方は、下記お問合せフォームよりご連絡下さい。

また、製品に関するお問合せや導入のご相談は、下記お問合せフォームおよびお電話にて承っております。

お問合せはこちらから

おすすめコンテンツ

 

ブログ一覧へ

このページの先頭へ