One to Oneマーケティングとはなにか?多様化するユーザーの要求に応えるためのマーケティング手法とその効果


 

 

かつて、消費者に情報を伝える方法といえば、同一の内容を一斉に配信するマス・コミュニケーションが一般的でした。しかし、情報技術の発展によって、特定の集団ごとに異なる情報を提供するセグメンテーション・マーケティングの手法が一般化しました。こうした傾向は更に加速し、現在では個人レベルにまでカスタマイズした情報を伝えるOne to One マーケティングが現実のものとなっています。

 

インターネット上に情報が溢れるいま、ユーザーの嗜好は一層多様化しています。ネット上でユーザー一人ひとりが求めている情報(商品やコンテンツ)を探し出す手助けができれば、短期的な売上向上だけでなく、長期的にユーザーの信頼を獲得してゆくことができるでしょう。

 

今回は、「One to Oneマーケティング」(ワントゥワンマーケティング)について、具体的な方法と効果を解説します。

 

【INDEX】
「One to Oneマーケティング」の定義
・One to Oneマーケティングとはなにか?

One to Oneマーケティングを実現、個々の行動を分析する手法
・One to Oneマーケティングの実現とは、具体的に何を意味するのか?
・ECサイトでOne to Oneマーケティングを実現するためには、どのようなデータを分析すればいいのか?

AIによる自動分析と予測、そしてリアルタイムでの提案
・行動データは、どのようにOne to Oneマーケティングで活用されるのか?

消費者と企業、双方にとって得られるメリット
・AIによるOne to Oneマーケティングが生み出す消費者へのメリットとは?
・事業者にとってのメリットとは?

まとめ


 

 「One to Oneマーケティング」の定義

▼One to One マーケティングとはなにか?

One to Oneマーケティングとは、個別のユーザーのニーズに合わせ、カスタマイズした情報(商品・コンテンツ・サービスなど)を提供し、コミュニケーションの最適化を図る手法です。

 

インターネット上でアクセスできる情報の量は、増え続けています。多くのユーザーが、求める情報を探し出せないというストレスを感じており、過去の調査では約70%のユーザーが「情報疲労」を感じていると言われています*。

 

ゆえに、ユーザーが求めている情報を、適切に届けること自体が価値を持つようになっています。情報を提供する側が、ユーザー一人ひとりが何を求めているのかを理解し、ユーザー個々に適したタイミング、適した方法で提供することで、ユーザーからの信頼やロイヤルティを得ることができます。

 

それらを実現するのがOne to Oneマーケティングです。

 

機械学習技術の発展で、時にビッグデータとも呼ばれる膨大な情報の中から、「ひとり」に合う情報を探し出しターゲティングすることができるようになりました。この技術で、あたかも手慣れた店員が客の要望に応えるように、個人に寄り添った提案のできるサービスが生まれ、消費者と良好な関係性を作り上げることができるようになったのです。

 

 

One to Oneマーケティングを実現、個々の行動を分析する手法

▼One to Oneマーケティングの実現とは、具体的に何を意味するのか?

One to Oneマーケティングを実現する軸となるのが、個人に合った情報(製品やコンテンツ)の選定です。

 

ECサイト内のトップページで「新アイテムの登場!」や「今シーズンにはマスト!」などと、新しい製品の入荷タイミングや季節の変わり目でよく見かけるかと思います。これは、企業として売りたい商品の情報をプッシュしているだけです。

 

One to Oneマーケティングは、これとは逆の手法です。顧客が欲しい、買いたいと思えるアイテムを、売り手が考えて提示しなければなりません。

 

たとえばアパレルブランドでは、店舗に来店しているお客様の体型や今の服装、店内で見ているものを販売員が観察し、欲しそうな商品や似合いそうな商品を考えて推薦(レコメンド)することができます。

 

これはECサイト(ネットショップ)でも同じです。サイトを訪問するユーザーのデータをサイトに実装されたシステムが分析・予測し、彼らのニーズとマッチした商品を推薦すればよいのです。

 

 

 

▼ECサイトでOne to Oneマーケティングを実現するためには、どのようなデータを分析すればいいのか?

消費者のデータと言っても、その種類は膨大です。具体的な分析対象を定めないと、個人のニーズに迫ることは困難です。

 

分析にあたって最も重要なのが、ユーザー個人の「行動データ」です。

 

行動データとは、ユーザーがどういうページをクリックして閲覧したのか、何を買ったのか、どのキーワードで検索したのかなど、サイト上で実際にとった行動の記録を指します。ユーザーの行動というのは、自発的なものだからこそ、何を本当に求めているかが反映されることが多く、個々のニーズを最も明確にできる中心的なデータと言えます。

 

それ以外にも分析によく使われるのは「属性データ」です。

 

属性データとは、その人の性別や年齢、職業や収入といったデモグラフィック情報や、アンケートなどの回答から得られる個人の嗜好を基にして分類されたデータを指します。同じ特徴や属性ごとに向けた情報を提供する手段です。

 

しかし属性データは、特徴ごとにまとめた「集団レベル」のデータです。セグメントを掛け合わせることで細かな分析もできますが、完全なOne to Oneマーケティングを実現するには手法として不充分です。ユーザー人ひとりの要求に応えるために、「個人レベル」でそれぞれの行動データを分析することが必要となります

 

 

AIによる自動分析と予測、そしてリアルタイムでの提案

▼行動データは、どのようにOne to Oneマーケティングで活用されるのか?

サイト上で取得した個々の行動データを、統計データと比較するなどして分析することで、個人のニーズや嗜好を予測します。そのうえでより正確な製品や情報を提案、またはOne to Oneに向けた「レコメンド」を実現します。

 

しかし、個人単位の行動データ分析には非常に手間と工数が掛かります。分析で得られた予測が正しいかどうかの検証も必要となり、マニュアルで行うのはほぼ不可能です。One to Oneマーケティングの手法を実際のビジネスに導入するには、データ分析の自動化を担う高度なアルゴリズムが必要となります。

 

それを実現するのが、AI(人工知能)による「レコメンドエンジン」です。蓄積されるユーザー一人ひとりの行動履歴をAI技術で自動的に分析し、ニーズを予測して個人に合った製品やコンテンツを表示することができます。

 

AIによるレコメンドサービスは、行動情報が多ければ多いほど機械学習でユーザーの傾向を精緻に予測することができ、より適切なパーソナライゼーションが可能になります。

 

また、実ビジネスの環境においては、予測の「リアルタイム性」も重要になります。ユーザーのニーズや嗜好は日々変化するため、いま必要となっているものを、その瞬間に予測し、提示しなければならないからです。高度なAIエンジンは、計算の精度と速度の両立を実現し、このニーズに応えることができます。

 

 

消費者と企業、双方にとって得られるメリット

▼AIによるOne to Oneマーケティングが生み出す消費者へのメリットとは?

消費者は、AIによって情報を提案されることで、サイト上で求めているもの、もしくは興味のあるものに、瞬時にたどり着くことができます。

 

ECサイトの例ですと、膨大な商品数の中から探す場合、本当は欲しかったり興味を持てたりしたはずの商品を見落としてしまう可能性があります。ただし、「あなたへのおすすめ」として表示されたアイテムが自分のニーズや好みに一致していれば、探す手間が省けます。さらに、そのアイテムとの予想していなかった「出会い」の体験(セレンディピティ)が、ユーザーのサイトに対する好感度を向上させます。

 

アイテムをおすすめとして提示されることで、ユーザーとしてはサイトの中で自らアプローチするというよりも、サイトの事業者と自分との間で一対一の接客を受けているような感覚になります。

 

サイトに訪れるユーザーは、実店舗で販売員に探し物や好みを聞いてもらい、一人ひとりに丁寧な対応をしてくれる「気の利く店員さん」に提案してもらっているような体験を実感できます。これが、レコメンドを通じたOne to Oneマーケティングのもたらす顧客のメリットです。

 

▼事業者にとってのメリットとは?

One to Oneマーケティングを実装する事業者は、短期的なメリットと長期的なメリット双方を得ることができます。

 

短期的なメリットとして挙げられるのは、「CVRの向上」です。商品をレコメンドすると、ユーザーにとって商品を探す手間を省くことができ、欲しいアイテムまで最短で誘導することができます。そのため、サイトからの離脱率を下げ、購入などといったコンバージョン(CV)を促す効果があります。

 

Webサイトでより多くの商品やサービスを知ってもらう、またユーザーにとって「楽しく」回遊ができるサイトを作る目的を持つことはよくあります。そのため、サイト内でのクリック数や滞在時間を増やすことを目標として設定することは一般的です。

 

しかし、すでに欲しい情報が明確なのであれば、ユーザーはできるだけ手間なく目的地に辿り着きたいものです。むしろ、複数のページを移動しなくてはならない複雑で面倒な経路だと、目的に到達する前に離脱してしまう恐れがあります。

 

そのため、クリック数や滞在時間を増やすことが必ずしもCVRを上げる要因ではありません。無駄な経路がなく、少ないクリック数でニーズを満たす商品ページへの到達ができれば、購入を促すことができ、CVRを上げていくことが可能になります。

 

続いて、企業にとって得られる長期的なメリットは、ユーザーの「ライフタイムバリュー(LTV)向上の効果」が見込めることです。

 

欲しい情報の探す手間が省ける、という体験は、サイトの利便性の実感に繋がります。

こうした、短時間で目的の商品へ到達することや、良質な選択枝を提供されることが、消費者にとって「心地よい」体験ができるサイトとして認知され、サイト再訪のモチベーションとなります。

 

サイトに対する信頼感を上げてゆくことで、長期的なリピーターを獲得することができ、ユーザーのLTVを向上することができるのです。

 

 

まとめ

ネット上で多くの情報に触れる事ができるオンラインショッピングのユーザーは、商品のニーズやサービスに対する要求も非常に多様化しています。

 

ただ闇雲に、情報や商品を大多数のユーザーにリーチをさせるよりは、個々のニーズに合ったレコメンドを表示してアプローチをかける方が、結果的により多くのリターンが得られると考えられます。

 

One to Oneマーケティングの手法で、個人に寄り添ったより細やかな接客をすることで、マーケットの中でユーザーの囲い込みを進め、競合との関係において優位に立つことができるでしょう。

 

ぜひ長期的な目線で利益を形成していき、消費者の心を動かす体験ができるサイト作りで、One to Oneマーケティングの実現を検討してみてください。

 

 

(文:古賀 吉国 / 編集:矢野 アマンダ有梨)

 


*引用文献:

野村総合研究所、2013、『なぜ、日本人はモノを買わないのか?1万人の時系列データでわかる日本の消費者』東洋経済新報社

 



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