身近に感じられるメールコンテンツが、LINE配信を超えるコンバージョンを生む – FLAVA 「TOPFLOOR」
ECを中心にアパレルビジネスを展開する株式会社FLAVA(フレイヴァ)は、メンズカジュアルのJIGGYS SHOP(ジギーズショップ)や、アンダーウェア専門店CRAZYFERRET(クレイジーフェレット)などの運営で、20代~40代の男性ユーザーを中心に親しまれています。
自社アパレルブランドの立ち上げなどにも積極的に取り組み、ZOZOTOWN、楽天、Amazonなど、さまざまなモールで販売を行う同社ですが、自社運営のECサイトはTOPFLOOR (トップフロア)に集約しています。より顧客の幅を広げていきたいと語る同社のEC戦略、そしてコミュニケーション戦略について、同社でTOPFLOORのマーケティングを担う、高橋様、真田様、柳本様、山本様にお話を伺いました。
【INDEX】
・2つのブランドをひとつのショップに
・LINE公式アカウント以上に活性化してきた自社メルマガ
・メールとサイト、双方でのレコメンド効果
・より多様な使い方をしてもらえるサービスを目指す
2つのブランドをひとつのショップに
▼総合アパレルECサイトとしてのTOPFLOORの成り立ちについて、教えてください。
高橋:弊社はメンズ向けの総合アパレルであるJIGGYS SHOP(ジギーズショップ)と、メンズ下着のオンラインショップとして長年親しまれてきたCRAZYFERRET(クレイジーフェレット)の2つを中核として運営してきました。2020年にこの2つのストアブランドを統合して誕生したのが、自社ECサイトであるTOPFLOORです。
真田:それまでは、それぞれのブランドがZOZOTOWNなどのモールと自社ECサイトの複数チャネルで運用していたのですが、両ブランドのシナジーを生み出せるのではないかと考え、自社ECサイトはひとつにまとめることにしました。両ブランドでトータルコーディネートの提案ができるようになりますし、配送面でも、どちらも同じ倉庫から出荷するので効率が良くなります。
▼モールビジネスと自社サイトで、棲み分けや戦略の違いはあるのでしょうか?
高橋:あまり棲み分けというのは意識していません。モールと自社サイトの両面展開は、お客様との窓口を広く持つことが目的です。モールでも、自社サイトでも、基本的には同じ商品で、同じブランド体験が出来るようにしています。画像の差別化なども行ってはいません。
顧客接点という点では、モールと自社サイトでそれぞれ特徴的なお客様の流入経路があります。モールでは全体の商品ランキングからの流入が多く見込まれます。一方で自社サイトはD2C的な施策や、SNSからの流入を起こしやすいという傾向があります。売れる商品もモールではベーシックな商品が多く、自社サイトでは多少尖った、ロングテール寄りの商品が多く出ます。
▼TOPFLOORサイトでは、LINE登録の誘導にも取り組まれていますが、成果はいかがでしょうか?
真田:LINE誘導施策がしやすいのも、自社ECサイトの特徴のひとつですね。ワンクリックでLINE会員に登録できるリンクに、初回割引クーポンのバナーを付けて訴求をしています。LINEへの取り組みはまだJIGGYS SHOPとCRAZYFERRETが分かれていたころから続けていて、長い分会員数も増えました。ただ、不活性の会員が増えてきたり、最近は配信コストの変更の問題もでてきたりしています。実は、いまはLINEよりもメルマガのほうのCVRが良くなってきています。
LINE公式アカウント以上に活性化してきた自社メルマガ
▼LINE以上にメルマガが活性化してきたというのは驚きです。理由はどこにあるのでしょう?
柳本:メルマガコンテンツの質にあると思います。文章に個性を出して、ユーザーとの距離感を縮められるようなコンテンツが出せるようになってきました。たとえば、単に今週のおすすめ品をプッシュするのではなく、担当者の個性を感じさせるような「私の選んだ一点」といった表現にすることで、見る側の感度が変わってきます。
メールは週5本~6本のペースで出していますので、トピックスに応じてタイトルも変わり映えするように工夫し、いつも新鮮に見てもらえるようにしています。メール本文も、表現力のあるHTMLメールにしています。
▼週5本というと、メール作成の工数も多いと思うのですが、どのようなコンテンツにしているのでしょうか?
柳本:週2回は新作アイテムの紹介があり、それ以外では人気ブランドのランキングや、人気アイテムの紹介などを中心に展開しています。新作アイテム紹介メールはかなりボリューミーになりますが、それ以外は3~4スクロールでサクっと読んでもらえるようなコンテンツにしています。
メールとサイト、双方でのレコメンド効果
▼TOPFLOORでは、メルマガにレコメンドメールシステム「レコガゾウ」を利用いただいています。メールでのレコメンド効果はいかがでしょうか?
高橋:サイト内でシルバーエッグの「アイジェント・レコメンダー」が動いているので、メールにも「レコガゾウ」を採用したのですが、レコメンドの質や成果以前に、私たちの業務がラクになったというところが嬉しいです。メールごとにどんな商品を掲載するかという部分が、相当自動化できました。
柳本:週5本のメールの中には、商品紹介はAIレコメンドオンリーというものもあります。メール冒頭のキャンペーン紹介は人間が書いて、その下の商品はすべてレコガゾウのAIが自動的に挿入する、といった構成です。レコガゾウ導入による効率化など、一連のメール改革を行った結果、2023年の上半期にはメールのコンバージョンが昨対比で2倍になるという成果を出しています。また、メール会員の母数も順調に増えています。
▼そもそも、サイト内で使われているレコメンドエンジンをシルバーエッグ・テクノロジーに切り替えられた理由はどこにあるのでしょう。
高橋:以前は米国のAIレコメンドエンジンを入れていたのですが、AIと言う割に成果の出るアルゴリズムが一つしかなく、あまり高度なことができている感じがしませんでした。シルバーエッグ社は多彩なアルゴリズムを状況によって使い分けられますし、成果報酬型で費用対効果が明確でしたので、こちらに切り替える判断をしました。
サイトの「アイジェント・レコメンダー」に加え、同じAIで動く「レコガゾウ」でメールからサイトへの導線を作った結果、現在では全体の売上の10%~15%程度がレコメンド経由となっています。
より多様な使い方をしてもらえるサービスを目指す
▼今後、AIやレコメンドツールに期待することがあれば教えてください。
高橋:パーソナライズと自動化ですね。レコメンドAIで、どんなお客様がどんなものを買いやすいのかがわかれば、そこから自動的にターゲティングしたコンテンツが作れるようになるのではないかと期待しています。CRMや、Chat GPTなどの生成系AIによる文書作成と組み合わせ、実現できたら面白いなと期待しています。
また、これは技術面ではありませんが、マーケティングツール全般の話として、サポートのレスポンスは気になります。複雑なツールであるがゆえに、サポートへの問い合わせも複雑だと、使う側としてストレスがたまります。なるべくシンプルに、軽いフットワークでサポートしてもらえる企業さんと付き合っていきたいです。
▼TOPFLOORは今後、どのようなサービスを目指していかれますか?
真田:数字の面でいえば、現在はまだまだモールのほうが売上の規模が大きい状態です。TOPFLOORもモールと同じぐらいの売上が上げられるようにしていくのが当面の目標です。
高橋:サービスの質的な部分で言うと、商品の多様化、売り方の多様化があるかなと思っています。いま、JIGGYS SHOPではプライベートブランド商品が伸びています。一方でCRAZYFERRETではナショナルブランドが多く出ており、女性向け商品も伸びています。この商品の多様性を活かして、単に「男性に売る」とか「女性に売る」という画一的なターゲット戦略から脱却した売り方ができるのではないかと思っています。たとえば、カップルでプレゼント用品を使うとか、ファミリーで利用するとか、そんな使い方をもっと広めていきたいですね。
山本:特に女性層など、まだまだTOPFLOORでは拾いきれていないお客様の層もあると思っています。SEOなど、広告施策もしっかりやって、多様なお客様に、多様な使い方をしてもらえるようなサービスにしていこうと思います。
(編集:園田 真悟)
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