業種別10社が語るレコメンドエンジン成功事例

現代のデジタルマーケティングにおいて、画一的な情報の提示や、ユーザー自らの条件検索だけに委ねる従来の設計では、多様化するニーズに応えることは困難です。そこで重要となるのが、一人ひとりに最適な導線を提供し、ストレスなくサイト回遊を楽しんでもらうCX(顧客体験)の視点です。
本記事では、人材、専門店ECなど異なる商材やサービスを提供している10のオンラインビジネス事業者様たちが、AIレコメンドを活用してどのようにCX課題を解決し成果を上げているのか、その導入事例を紹介します。
【INDEX】
- アパレル: 株式会社デイトナ・インターナショナル様「デイトナパーク」
- 食品通販: エノテカ株式会社様「エノテカ・オンライン」
- 総合通販:株式会社千趣会様「ベルメゾンネット」
- 株式会社中川政七商店様「中川政七商店」
- 電子書籍:NTTドコモ様「d ブック」
- 古物販売:株式会社まんだらけ様「まんだらけ通販」
- BtoB EC:株式会社ダンボールワン様「ダンボールワン」
- クラウドファンディング:株式会社CAMPFIRE様「CAMPFIRE」
- インテリア通販:株式会社シマダトレーディング様「NOCE」
- 求人メディア: 北海道アルバイト情報社様「アルキタ」
- まとめ:AIレコメンドはCXを革新するための戦略的ソリューション
アパレル: 株式会社デイトナ・インターナショナル様「デイトナパーク」
ECにも「店舗の接客」を。AIレコメンドでファン化を促進するDX戦略
自社の強みである「リアル店舗の接客力」をECでも採用。デイトナ・インターナショナルは、オフラインの熱量をデジタルに拡張し、複数ブランドの買い回り(クロスユース)を促すため、ECサイト「デイトナパーク(Daytona Park)」を刷新しました。
ポイントはAIレコメンドです。多様な商品に加え、店舗スタッフによるスタイリングフォトなどの豊富な独自コンテンツをAIでパーソナライズして配信しています。ブランドを横断した最適な提案を実現した結果、CTRは固定枠比で3倍に急増し、コンテンツ力を活かしたサイト設計で、ロイヤルティ向上とスムーズな顧客体験に成功しています。
食品通販: エノテカ株式会社様「エノテカ・オンライン」
「絞り込み」より「提案」を。AIレコメンドが変える顧客体験と売上
対話のないECサイトで、実店舗のような「会話を通じて知識を深める楽しみ」は再現できるのでしょうか。2,000種類以上のワインを扱うエノテカ・オンラインは、ECの常識である「価格やカテゴリーなどの条件による絞り込み(フィルタリング)」を止め、AIで制限のない商品提案に切り替えました。顧客の行動傾向から潜在ニーズを引き出す「接客型」のアプローチは、結果として客単価を押し上げ、レコメンド経由の売上は導入前と比較し、300%向上しました。「あえて条件を絞らせない方が高単価な商品も売れる」というこれまでの仮説を覆す発見が得られました。
総合通販:株式会社千趣会様「ベルメゾンネット」
統合ツールの課題を解消。「専門特化型」への原点回帰で得た確かな成果

カタログ通販の先駆者として多くのファンを持つベルメゾンネットは、統合型ツールのレコメンド機能に精度や柔軟性の限界を感じ、かつて利用していた「アイジェント・レコメンダー」を再導入しました。コンサルタントとの共創により、高度なパーソナライゼーションを追求しています。
その真価が証明されたのは、大規模なシステム改修の時でした。改修によりサイト全体の売上が影響を受けていた中で、レコメンド経由の受注だけは堅調に推移しました。困難な状況下でも、AIが顧客のニーズを的確に捉え続け、ロイヤルカスタマーの離反を防ぐ、収益の盤石な基盤として機能しました。現在は、効率化を超え、顧客に“発見”をもたらし信頼を深める戦略を推進しています。
工芸・生活雑貨:株式会社中川政七商店様「中川政七商店」
創業300年老舗のDX戦略。「読み物」から「買い物」へつなぐ接客型メディアEC

ECサイトを「ものづくりの背景を伝えるメディア」と定義する中川政七商店では、顧客視点でのブランド体験を何よりも重視しています。通常、商品が終売になると、関連するコンテンツも削除されがちですが、同社ではこれを貴重な資産として蓄積し、AIレコメンドによって「記事を読んでいる人に関連商品を」「商品を見ている人に関連記事を」と相互に提案する仕組みを構築しました。これにより、デジタル上でも顧客の感性に寄り添う「接客」を実現し、予期せぬ隠れた逸品との出会いを創出しています。
電子書籍:NTTドコモ様「d ブック」
性別や年齢だけでなく、ユーザー一人ひとりの「今の気分」に寄り添い、利用単価を110%に向上
約60万冊を扱う「dブック」では、かつて「男性向け」「女性向け」といった性別や年齢に基づいた画一的なおすすめを行っていました。しかし、これではユーザーの多様な趣味嗜好に合わず、ミスマッチが起きるという課題がありました。
そこで、属性データに頼らず、ユーザーの「今の行動」をAIでリアルタイムに分析する手法に切り替えました。その結果、「その時、本当に読みたかった本」との出会いが増え、レコメンド経由の利用単価は導入前と比べ110%に向上しました。単なる効率化ではなく、読書体験そのものの質を高めることで、ファンの獲得と収益拡大を同時に実現しています。
古物販売:株式会社まんだらけ様「まんだらけ通販」
膨大な在庫から“自分だけの宝物”を探し出す新型AI
多種多様なマニア向け中古グッズを1千万種以上在庫するまんだらけでは、これまで各店舗の“その道のプロ”である店員の手で、様々な顧客のニーズに対応していました。ECサイトの顧客体験向上を図るため、「アイジェント・レコメンダー」を導入したところ、人間のスタッフも想定できなかった「顧客の求めている商品」が紹介できるようになり、月額2千万円以上の売上向上が実現しました。これは、EC販売の約5%を、AIの力で創出したことを意味します。
BtoB EC:株式会社ダンボールワン様「ダンボールワン」
テレビCMの効果を最大化するための顧客体験向上
テレビCMで得られたECサイトへの集客効果に対し、期待した売上げが得られないと感じていたダンボールワンは、レコメンドエンジンでニーズが曖昧なお客様にバラエティ豊かな商品を見せたり、目的買いが多い小規模BtoC事業者のお客様に「もう1品」の商品を見せるたりすることで、再訪ユーザーの商品購入点数を130%増加させるなどの効果を得ることができました。
クラウドファンディング:株式会社CAMPFIRE様「CAMPFIRE」
挑戦と応援の循環を最大化!流通総額(GMV)成長を牽引するAIマッチング

人気案件や新規プロジェクトの陰に隠れがちな「ロングテール」を埋もれさせず、多様化する支援者のニーズにどう繋げるか。国内最大の掲載数を誇る購入型クラウドファンディングプラットフォーム「CAMPFIRE」は、プロジェクト数が増加する中で、「挑戦と応援」の循環の最大化と、流通取引総額(GMV)の成長を目標にしています。「アイジェント・レコメンダー」の導入により、ウェブサイトのトップページに設置したレコメンド枠は、他のコンテンツと比較して約2倍の誘導効果(収益性もGMVベースで約2倍)を獲得しました。また、セグメントメール施策では、一括配信に比べ約1.5倍のCVR優位性を達成しています。
インテリア通販:株式会社シマダトレーディング様「NOCE」
検索で失望させない! “発見”を促す顧客ナビゲート
家具のような耐久消費財販売では、店頭とECを併用して、じっくり商品選びをするユーザーが多くなります。NOCE(ノーチェ)では、サイト検索結果のページにもレコメンドを表示させるなどして、検索結果が「0件」でも顧客を失望させず、顧客がサイト内の商品やコンテンツを回遊できるような仕組みを構築しています。
求人メディア: 北海道アルバイト情報社様「アルキタ」
求人募集を「書くのは人、届けるのはAI」- アナログとデジタルのハイブリッド戦略
創業50年を超える地域密着型の求人メディア「アルキタ」は、紙媒体で培ったアナログな強みを維持しながら、デジタルでの成長を加速させるハイブリッドなDX戦略を推進しています。人材のプロである営業担当者が必ず取材を行うことで「情報の質」を担保し、膨大な案件の中からユーザーへ届ける「マッチングの最適化」をAIに任せるという、役割分担を明確化しました。また、地元住民の感覚に即した独自の地域セグメントを内製でシステムに組み込むなど、徹底したユーザー目線のUXを追求しました。
まとめ:AIレコメンドはCXを革新するための戦略的ソリューション
各業界の成功事例に共通しているのは、単なる自動化ではなく、「顧客に寄り添う接客」をデジタルでいかに再現するかという視点です。
「アイジェント・レコメンダー」は、アパレルでのファン化促進、人材業界でのマッチング最適化、そして大規模ECでの収益基盤の構築など、多方面でその真価を発揮しています。レコメンドエンジンを単なるツールとしてではなく、CXを革新するための戦略的なソリューションとして活用することが、これからのDX成功の鍵となるでしょう。
貴社のビジネスにおいても、AIによる「一歩先の提案」を取り入れ、顧客との信頼関係を深める新しいCXを構築してみてはいかがでしょうか。

