日本最大級のクラファンサイトCAMPFIREが実践する、「質の高い企画」との出会いを最大化するAI活用術


国内最大の掲載数を誇る購入型クラウドファンディングプラットフォーム「CAMPFIRE」。地域やスポーツ、エンタメなど、規模やジャンルを問わず、日々多種多様な挑戦がここから生まれています。「資金調達の民主化」を掲げ、誰もが声をあげて挑戦でき、またその挑戦を応援できる場所として成長を続けるCAMPFIREは、いかにして支援者一人ひとりに最適なプロジェクトを届け、新たな「出会い」を創出しているのでしょうか。今回は、その取り組みとAIレコメンドエンジンの活用について、支援者マーケティング責任者の宇田川様と、支援者開発をご担当の大塚様にお話を伺いました。

 

INDEX
CAMPFIREとは
AIレコメンドエンジン導入前の課題
選定のポイントと導入
導入効果
今後の展望


【CAMPFIREとは】「挑戦と応援」を繋ぐ、日本最大級のクラウドファンディング・プラットフォーム

――まず、クラウドファンディングの仕組みとCAMPFIRE様のビジネスモデルについて教えてください。

宇田川様:クラウドファンディングは、”これをやりたい”という夢やアイディアを持つ人(起案者)が、インターネットを通じて多くの人々 に資金提供を呼びかけ、その実現を目指す仕組みです。単なる資金調達の手段というだけでなく、新しい事業や製品のテストマーケティング、あるいはECサイトのように新商品を先行販売する形での活用も増えています。さらに、アーティストがイベントを開催したり、ファンとのエンゲージメントを深めたりする目的で利用されることもあります。私たちCAMPFIREは、起案者がクラウドファンディングを立ち上げ、支援者と出会うためのプラットフォームを提供しています。

 

大塚様:私たちのビジネスをECに例えるなら、楽天市場のようなモール型事業に近いかもしれません。さまざまなジャンルの起案者が出展し、支援者がそのプロジェクト(商品や体験)を購入する、という構造です。ただし、通常の物販ECと大きく異なるのは、CAMPFIREが売っているのは完成された『モノ』だけではなく、起案者の『最初の挑戦』そのものであるという点です。私たちは、この『挑戦と応援』の循環を最大化することを目指しており、プラットフォーム上での流通取引総額(GMV)が重要な指標の一つです。プロジェクトの形式には、目標金額に達しなくても支援金が支払われリターン(商品やサービス)が提供される『All-in』方式と、目標金額を達成した場合のみプロジェクトが成立する『All-or-Nothing』方式があります 。

 

 

――クラウドファンディング市場も成熟しつつある中で、CAMPFIRE様の強みはどのような点にあるのでしょうか。

宇田川様:CAMPFIREはオールジャンルを扱っており、本当に多種多様なプロジェクトが集まっている点が最大の強みだと考えています。ガジェットや飲食店のような新しい取り組みやアイディアに支援を集めるものから、エンタメ、地域創生、文化継承といった幅広い分野で活用されています 。特に、地域活性化やローカルなプロジェクトに強く、全国にパートナーがいることで、きめ細やかなサポート体制を築けていることも特徴です。

 

大塚様:起案者様の間ではある程度認知をいただいていますが、”支援する”という文化をもっと広げていく必要があると感じています。そのため、支援のハードルを下げるための安全性確保や、応援することの楽しさを伝える情報発信にも力を入れています 。また、特定の地域名をキーワードにした検索ニーズは高いものの、まだまだ活性化の余地があります。今後は、”自分の地元でもこんな面白いクラウドファンディングがあるんだ”という発見を増やしていきたいと考えています。

 

▲CAMPFIRE 代官山オフィスにてインタビューにお答えいただいた、大塚様と宇田川様

 

 

【導入前の課題】多様化するプロジェクトと支援者ニーズに応えるパーソナライズの必要性

――AIレコメンドエンジン「アイジェント・レコメンダー」を導入いただいて5年が経ちました。そもそも、レコメンドエンジンリニューアルのきっかけは何だったのでしょう?

宇田川様:5年ほど前から、いわゆるロングテールのプロジェクトにも光を当てたいと考えていました。当初は人気度ランキングである程度対応できていましたが、プロジェクト数が増え、支援者のニーズも多様化する中で、より一人ひとりに寄り添ったパーソナライズされた体験を提供する必要性を強く感じていました。また、クラウドファンディングの特性上、プロジェクトには募集期間があり、ECサイトのように”在庫がなくなる”という点がレコメンドの難しさでもありました。この課題を解決できるレコメンドの仕組みを求めて、アイジェント・レコメンダーに着目しました。

 

 

【選定のポイントと導入】セグメント単位でのレコメンドと、柔軟な対応力に期待

――レコメンドエンジンを選定する上で、どのような点を重視されましたか?

宇田川様:ぼんやりとですが、ユーザーのセグメント化は出来ていました。そのセグメント単位で、ユーザーの興味関心に合ったプロジェクトを提示できることが重要だと考えていました。シルバーエッグさんの場合、カテゴリーレコメンドの機能があり、我々の課題感と相性が良いと感じました。

 

大塚様:SNS経由で特定のプロジェクトページに直接流入するケースも多いのですが、サービス価値を高める上で、プラットフォーム内での回遊性を高め、新たなプロジェクトとの出会いを創出したいという思いがありました。シルバーエッグさんのレコメンドは、導入後の分析の中で、インプレッションあたりの購入期待値(支援期待値)が高いというデータも拝見し、信頼できると感じました。導入後のサポートにも期待していました。

 

 

――導入決定から本番稼働までのプロセスや、苦労された点はありましたか?

大塚様:アイジェント・レコメンダーの実装は、プロジェクトページのリファクタリングと並行して導入を進めました。当初、ページ表示速度への影響を懸念していましたが、最終的にはAPI連携の方式を工夫することで、表示速度を改善しつつレコメンドを実装することができました。結果として、ページ表示速度は向上し、レコメンドエリアへの到達率も上がり、サイト全体の回遊性も向上しました 。

 

 

【導入効果】トップページからの誘導効果2倍、セグメントメールの成果も1.5倍に

――アイジェント・レコメンダーを実際にどのように活用されていますか?

宇田川様:ウェブサイトでは、主にプロジェクト支援完了ページでの次のプロジェクト提案(購入相関レコメンド)や、リピートユーザー向けのトップページ、検索結果ページなどで活用しています。特にトップページのセカンドビューに設置したレコメンド枠は、他のコンテンツと比較して約2倍の誘導効果があり、枠数を増やす判断にも繋がりました 。GMV(流通取引総額)をインプレッション数で割った収益性で見ても、約2倍の効果が出ています 。

 

大塚様:メールマーケティングでは、起案者の活動報告メールなどのシステムメール内にレコメンドを組み込んでいます。閲覧データと支援データを活用したパーソナライズ配信を行っており、単純な一括配信と比較して、レコメンドを含めたセグメントメールの方が約1.5倍の優位性(CVR)が見られています 。CTR(クリック率)は今後の改善点ですが、CVRへの貢献は大きいです 。

 

 

――2021年の導入時と比較して、掲載案件数は約4万5千件から約10万件へと2倍以上に成長されています。レコメンドの定性的な効果や、今後期待することを教えてください。

大塚様:ユーザー層や支援されるプロジェクトの属性も広がっています。学習データが増えたことは喜ばしい反面、急激な変化にAIの学習が追いつけているか、という点は常に意識しています。そのような状況下でも、レコメンドの効果が落ちずに安定しているのは頼もしいですね。今後は、例えば『このプロジェクトを特におすすめしたい』といった、ビジネス的な意図を反映できるような重み付け機能や、ユーザーセグメントごとの学習強化による予測精度向上に期待しています 。

 

 

【今後の展望】AIを活用し、すべての挑戦と応援を、より滑らかに繋ぐ

――今後の貴社サイトにおける取り組みや、弊社サービスへの期待をお聞かせください。

宇田川様:CAMPFIREとしては、支援者・起案者双方にとってのユースケースを拡大していきたいと考えています 。起案者にはより使いやすく、質の高いプロジェクトを生み出せるようなサポートをAIも活用しながら提供し、支援者にはAIによるマッチング精度の向上や、セグメントベースでの認知拡大を通じて、より多くの支援者が共感し応援できるプロジェクトとの出会いを創出していきたいです 。

 

大塚様:「シルバーエッグさんには、引き続きレコメンド精度の向上はもちろんのこと、我々が持つ他のデータも活用しながら、レコメンドがLTV(顧客生涯価値)にどれだけ貢献できるのか、といった予測分析などにも取り組んでいただけると嬉しいです 。

 

 

(編集:園田真悟)

 

 

 

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