売上・コンバージョン向上とサイト運用コストの削減を両立 豊富なラインナップを活かす和装ECのAIレコメンド活用術 – 株式会社一蔵「いち利モール」
着物需要が変化するなか、和装業界の大手として独自のポジションを築く株式会社一蔵。同社が運営する和装専門のECサイト「いち利モール」は、圧倒的な商品数と関連商品の充実度で、カジュアルに着物を楽しむ50〜60代の女性から厚い支持を集めています。
しかし、その豊富な商品ラインナップゆえに、過去には手作業による関連商品表示の運用工数が日々の業務を圧迫し、売り切れ商品が表示されたままになってしまうといった課題を抱えていました。
今回は、同社でECサイト全般を統括する和装事業部 京都オフィス「いち利モール」主任の二階堂崇様に、課題解決の決め手となった「アイジェント・レコメンダー」の導入背景や、手作業によるサイト運用工数のゼロ化・CV向上といった具体的な成果、そして顧客満足度を高めるための独自の取り組みについてお話をうかがいました。
INDEX
・圧倒的な商品量と独自性が強み。成熟する和装市場でファンを広げる一蔵の挑戦
・手作業による関連商品運用の限界。在庫切れ表示による顧客体験の低下
・サイトの運用コストを削減しつつ、売上とCV向上をもたらしたAIレコメンド
・今後の展望:持続的な成長を支える基盤づくりと海外展開
圧倒的な商品量と独自性が強み。成熟する和装市場でファンを広げる一蔵の挑戦
— まずは、二階堂様の役割と、所属されている部門についてお聞かせください。
二階堂様:一蔵の和装事業部 京都オフィスにある「いち利モール」というECサイトの運営を担当しています。部署全体としては仕入れ担当や、ささげ(撮影・採寸・原稿制作)、カスタマーサービスなどを含めて5~6名体制で運営しており、私は主任としてサイトの実績管理や、パートナー企業様とのやり取り、アップデート管理などのディレクション全般を担っています。
—和装業界の大手である貴社ですが、事業の強みや市場のトレンドについてどのように捉えられていますか?
二階堂様:業界全体としては、日常的に着物を着る方が減少傾向にあり、市場は成熟しています。しかし、当社ではそうした流れに対して、着付け教室を展開して「着られる人を増やす」、そして「着物を着て出掛けられる場所を作る」といった、着物の裾野を広げる試みに全社を挙げて取り組んでいます。
当社の最大の強みは、なんといっても商品量や種類の豊富さです。それを根底で支えているのが、メーカー様から商品を現金買取するという画期的な仕入れ制度です。新品で良質な着物をメーカー様から直接かつ安価に買い付けることで、これだけ多彩なラインナップをダイレクトにお客様へご提供できる基盤を持っています。
なお、いち利モールでは振袖の取扱いはありません。サイトのメインターゲットは店舗と同様に圧倒的に50〜60代の女性が中心で、訪問着のようなフォーマルな外出というよりも、日常の洋服に代わるお出掛け用としてカジュアルに着物を楽しまれる方が多いですね。
—「いち利モール」ならではの工夫や、顧客満足度を高めるための独自の施策があれば教えてください。
二階堂様:他社ECとの差別化を図るため、着物単体だけでなく、帯留めや肌着といった関連商品の取り扱いを非常に充実させています。また、メーカー様と直接相談しながら作るオリジナル商品の制作にも注力しており、現在では約600種類にのぼるアイテムを展開しています。
また、お客様に納得してお買い物を楽しんでいただくための施策として、購入前にあらかじめ反物を触って質感などを確かめていただける「さわって選ぶシステム」を提供しています。さらにサイトで利用しているカートベンダー様に独自開発していただいた「バーチャル試着室」を導入しており、返品率の減少やCVR向上という成果にもつながっています。
加えて、週2回配信しているメルマガもお客様との大切な接点です。水曜日は季節のワードを含んだコラム系、金曜日は商品情報やセール案内を中心に配信しており、開封率は約30%に達しています。コラムのテーマはライターさんに一任しており、ECチームから細かい要望を出すことはほぼありません。タイトルを見やすくしたり、具体的な数字を盛り込むなど見た目の工夫を意識しており、ターゲット層の方々には手紙を読むような感覚で閲覧していただいていると感じています。

手作業による関連商品運用の限界。在庫切れ表示による顧客体験の低下
—お客様に寄り添う数々の施策を展開される中で、アイジェント・レコメンダーを導入する以前はどのような課題を抱えていたのでしょうか。
二階堂様:以前はサイトの商品ページにおける関連商品の表示や商品の入れ替え作業などを手動で行っていました。当時の担当者が1~2名だったのですが、関連商品の表示作業には1商品あたり1~2分程度かかり、月に200~300点の商品が入荷されるため、この手作業に専任担当を置かなければならないほど大きな負担となっていました。
このような状況下では在庫管理もしづらく、売り切れて在庫切れとなった商品がサイト上に表示されたままになってしまい、お客様を落胆させてしまっていたのです。他の施策に割けるマンパワーを確保し、運用状況を改善するためにレコメンドの導入を決定しました。
—数あるツールの中から、最終的にアイジェント・レコメンダーを選んでいただいた「決め手」は何だったのでしょうか。
二階堂様:ベンダー様からの紹介でアイジェント・レコメンダーを知りました。他社サービスと比較した際、コスト面では大きな差はありませんでしたが、決め手となったのは「成果(コンバージョン)が反映されるまでの時間の短さ」です。他社は何日も経ってからコンバージョンがついたり、さまざまなところを経由してカウントしたりするなど、評価の基準が緩いものが多かったのに対し、シルバーエッグさんのアクセスから短時間で買われたものだけをコンバージョンとして記録するという自社サービスの効果に対する厳格な評価基準が決め手となりました。
導入決定から稼働の期間までについても、トラブルもなく平均的な期間でスムーズに導入できた印象です。
サイトの運用コストを削減しつつ、売上とCV向上をもたらしたAIレコメンド
—導入後、サイト運用や売上にどのような変化がありましたか?
二階堂様:AIレコメンドを導入したことで、これまで商品登録担当者が手動で行っていたサイト管理の運用工数が“ゼロ”になりました。手作業の負担がなくなった分、商品のキャプション説明の作成や、商品登録以上の業務にリソースを割けるようになっています。
また、売上においても目に見えて効果が出ており、レコメンド経由で月に100〜200万円以上のCV購入金額が継続的に上がっています。レコメンドの精度には非常に満足しています。
—サイト内のどのような場面でレコメンドを活用し、効果を実感されていますか?
二階堂様:最初は商品ページのみに導入していたのですが、実績が良く出ていたため、トップページや検索画面、さらには「欲しいものリスト(お気に入り)」に基づくおすすめ商品の表示へと活用範囲を広げました。検索画面やリスト内で「あ、これいいかも」とおすすめ商品を見てもらえる導線ができたことで、売上向上にダイレクトにつながっています。

今後の展望:持続的な成長を支える基盤づくりと海外展開
—最後に、今後のサイト運営において強化していきたいことや、将来の展望について教えてください。
二階堂様:おかげさまでサイトは順調に成長し続けていますので、まずは新しい施策を無理に行うよりも、現状の良好な成果を維持できる運用体制を整えていきたいと考えています。
また、AIの領域で今後できたら嬉しいと思っているのは海外展開のための翻訳活用です。和装業界は専門用語が非常に多いため、単純な翻訳では伝わりにくい部分があります。しかし近年は海外での需要も増えてきているため、一方的な翻訳にとどまらず、双方の言葉の壁を解消できるレベルの校正機能を備えたAIサービスがあれば、ぜひ活用して着物を海外へ展開していきたいですね。
(取材 / 編集:シルバーエッグ・テクノロジー株式会社 マーケティング部)
